政府・日銀の為替介入は計11兆円超?日米協調介入の仕組みと税金・家計への影響

初心者向け資産形成!お金の基本!!

※この記事は2026年8月3日夜時点の公表情報と市場推計をもとに作成しています。

2026年7月30日と31日、ドル円相場が大きく動きました。


1ドル162円台まで進んでいた円安が、短時間で157円台まで円高になる場面があり、市場では「政府・日銀が大規模な円買い介入を実施したのではないか」と注目されました。

そして8月3日、片山さつき財務相は、米国東部時間の7月31日に日本と米国が協調して円買い介入を実施したことを明らかにしました。

日米が協力して円を買う協調介入は極めて異例です。円買い方向の日米協調介入としては、1998年以来およそ28年ぶりと報じられています。

さらに、日本銀行が8月3日に公表したデータから、7月31日の日本側の介入額は、約5兆円から6兆円規模だった可能性があると推計されています。

7月30日分についても、6兆円以上だったとの推計が出ており、2日間の合計額は11兆円を超えた可能性があります。

11兆円。

数字が大きすぎて、もはや軽トラック何台分なのか考える気にもなりません😂

しかし、ここで疑問が出てきます。

  • 本当に11兆円を使ったのか
  • なぜ正式発表前に金額が分かるのか
  • そのお金は国民の税金なのか
  • 11兆円も使って円安が戻ったら意味がないのではないか
  • ガソリン代や肥料代は安くなるのか
  • 米国株やゴールドにはどのような影響があるのか

この記事では、今回の為替介入について、投資や経済に詳しくない方にも分かるように解説します。

カツくん:11兆円と聞くと、「税金を全部使っちゃったの?」と心配になりますが、実際の仕組みは少し違います。順番に見ていきましょう💴

  1. 結論:介入実施は確認されたが、11兆円超はまだ推計
  2. 7月30日と31日に何が起きたのか
    1. 7月30日:円が162円台から157円台へ急上昇
    2. 7月31日:日米が協調して円を買った
  3. なぜ日銀当座預金を見ると介入額が推計できるのか
    1. 日銀当座預金とは
    2. 円買い介入をすると当座預金が減る
    3. 民間予想との差を計算する
  4. なぜ介入した日の2営業日後に分かるのか
  5. 結局、2日間でいくら使ったのか
  6. 為替介入に税金は使われているのか
    1. 介入は買い物ではなく資産の交換
  7. 「税金ではないなら国民に関係ない」は本当か
  8. なぜ11兆円もの大規模介入が必要だったのか
    1. 投機的な円売りを止めるため
    2. 企業と家庭に対応する時間を与えるため
    3. 米国と協力することで警告を強めるため
  9. 介入しても円安に戻るなら意味がないのか
    1. 介入がなければ、さらに円安になった可能性がある
    2. 追加介入への警戒が残る
    3. ただし根本原因は変わらない
  10. 日米協調介入は単独介入と何が違うのか
    1. 1.投入できる資金が増える
    2. 2.市場へのメッセージが強くなる
    3. 3.日本だけが為替を操作しているという批判を避けやすい
  11. 私生活にはどう影響するのか
    1. ガソリン・灯油
    2. 電気・ガス料金
    3. 食料品
    4. スマートフォンやパソコン
  12. 兼業農家にはどのような影響があるのか
    1. 肥料価格
    2. トラクター・コンバインの燃料
    3. 農機具と修理部品
    4. 農家にとって重要なのは一日の円高ではない
  13. 米国株やゴールドへの影響
    1. 米国株は円換算評価額が下がる
    2. ゴールドにも為替が影響する
  14. 今後考えられる3つのシナリオ
    1. シナリオ1:協調介入が効いて円高が続く
    2. シナリオ2:155円から160円付近でもみ合う
    3. シナリオ3:再び160円を超えて追加介入
  15. 為替介入ニュースを見たときのNG行動
    1. NG例1:円高になった瞬間に米国株を全部売る
    2. NG例2:介入額と同じ税金が消えたと考える
    3. NG例3:円高になったから、すぐ肥料やガソリンが安くなると思う
    4. NG例4:FXで介入の方向を当てにいく
    5. NG例5:「どうせ戻る」と決めつける
  16. 🔍用語解説コーナー
    1. 為替介入
    2. 円買い・ドル売り介入
    3. 協調介入
    4. 日銀当座預金
    5. 財政等要因
    6. T+2
    7. 外国為替資金特別会計
    8. 外貨準備
    9. 短資会社
    10. 投機筋
  17. まとめ:11兆円は税金の損失ではないが、介入だけで円安は治らない
  18. 参考資料
  19. 免責事項

結論:介入実施は確認されたが、11兆円超はまだ推計

最初に、今回分かっていることを整理します。


項目2026年8月3日時点の状況
7月31日の介入日米協調介入の実施が正式に公表された
7月31日の日本側介入額約4.7兆円〜5.8兆円との市場推計
別の推計約5.33兆円
7月30日の介入市場関係者や日銀データから介入の可能性が高いとみられている
7月30日の推計額約6.5兆円〜9.6兆円など推計に幅がある
2日間の合計11兆円超との見方があるが正式確定前
正式な月間総額2026年8月28日に財務省が公表予定

7月31日については、介入を実施した事実そのものは正式に確認されました。

しかし、約5兆円から6兆円という金額は、日銀の当座預金データと民間会社の予想との差から計算した推計です。

7月30日分を含む正式な月間介入額は、財務省が8月28日午後7時に公表する予定です。

したがって、現在の正しい表現は次のとおりです。

「政府が2日間で11兆円以上の介入を実施した可能性が高い。ただし、正確な総額はまだ確定していない」

7月30日と31日に何が起きたのか

7月30日:円が162円台から157円台へ急上昇

7月30日のニューヨーク外国為替市場では、ドル円相場が高値から安値まで約6円下落しました。

ドル円が下落するということは、ドルが売られ、円が買われたという意味です。

通常の経済指標だけでは説明しにくいほど急激な値動きだったため、市場では日本政府による円買い介入が行われたとの見方が広がりました。

日銀の資金需給データと民間短資会社の予想との差から、7月30日の介入額は約6兆4,700億円から9兆6,000億円との推計が出ました。

別の推計では、約8兆4,500億円とされています。

7月31日:日米が協調して円を買った

7月31日にも円相場が断続的に上昇しました。

8月3日、片山財務相は、米財務省と協調して円買い介入を実施したことを公表しました。

日本だけでなく、米国も円安を問題視し、協力して円を買ったことになります。

日銀が公表した8月4日の当座預金増減要因では、「財政等要因」が11兆4,200億円のマイナスと予想されました。

民間短資会社の予想との差から、7月31日の日本側の介入額は約4兆7,200億円から5兆7,600億円と推計されています。

民間3社の予想平均を使った別の計算では、約5兆3,300億円となります。

カツくん:新聞によって「5兆円」「6兆円」「合計11兆円」「合計13兆円」と違うのは、計算の土台となる民間予想が違うからです。間違い探し大会ではありません😅

なぜ日銀当座預金を見ると介入額が推計できるのか

今回のニュースで、少し分かりにくい言葉が出てきました。

それが「日銀当座預金」と「財政等要因」です。

日銀当座預金とは

銀行や証券会社などの金融機関は、日本銀行に口座を持っています。

私たちが一般の銀行に預金口座を持っているのと似ていますが、金融機関同士の決済や、政府との資金の受け払いに使われる特別な口座です。

これを日銀当座預金と呼びます。

円買い介入をすると当座預金が減る

政府がドルを売って円を買うと、介入の相手となった金融機関は、受け取ったドルの代わりに円を政府へ支払います。

その円は、金融機関の日銀当座預金から引き落とされます。

そのため、円買い介入の決済日には、日銀当座預金を減らす大きな要因が表れます。

日本銀行も、ドル売り・円買い介入では、一時的に日銀当座預金から円が吸収されると説明しています。

民間予想との差を計算する

短資会社と呼ばれる金融市場の専門会社は、税金の納付、国債の償還、政府支出などをもとに、翌営業日に日銀当座預金がどれくらい増減するか予想しています。

ところが、日銀が発表した予想が、民間会社の予想より数兆円も大きくマイナスになれば、通常とは異なる大規模な資金移動があったと考えられます。

そこで、次のように計算します。

日銀が発表した財政等要因-民間会社の予想=為替介入とみられる金額

7月31日分の場合、日銀の予想はマイナス11兆4,200億円でした。

民間3社の予想平均はマイナス6兆900億円程度だったため、その差額である約5兆3,300億円が介入額と推計されました。

なぜ介入した日の2営業日後に分かるのか

為替取引は、取引を約束した瞬間に、すべての現金が移動するとは限りません。

一般的な外国為替取引では、取引日の2営業日後に通貨の受け渡しと決済が行われます。

これを「T+2」と呼びます。

  • T:取引日
  • +2:2営業日後に決済

7月31日は金曜日でした。

土曜日と日曜日を除くと、2営業日後は8月4日火曜日です。

そのため、7月31日の円買い介入による資金移動は、8月4日分の日銀当座預金予想に表れます。

日銀は8月3日に8月4日分の予想を公表したため、その数字から介入額が推計されたのです。

💡お金の豆知識:ニュースで介入が疑われても、金額の推計が数日遅れて出てくるのは、取引と実際の資金決済に時間差があるためです。

結局、2日間でいくら使ったのか

ニュースでは「計11兆円から12兆円規模」と報じられています。

しかし、推計方法によって数字には差があります。

日付主な推計
7月30日約6.5兆円〜9.6兆円
7月30日の別推計約8.45兆円
7月31日約4.72兆円〜5.76兆円
7月31日の別推計約5.33兆円

低めの数字を合計すれば、約11兆円です。

一方、別の推計を合計すると、13兆円を超える可能性もあります。

この差が生まれる理由は、日銀の数字から差し引く「介入がなかった場合の予想額」が会社ごとに違うためです。

今回は税金の国庫納付日という特殊な資金移動もあり、通常より推計が難しいと指摘されています。

したがって、ブログやSNSでは、次のように書くのが安全です。

「7月30日と31日の円買い介入は、合計11兆円を超えた可能性がある。推計方法によっては10兆円台半ばになるが、正式な総額は8月28日の財務省発表を待つ必要がある」

為替介入に税金は使われているのか

「11兆円の介入」と聞いて、最も気になるのが税金です。

結論から言うと、今年集めた所得税や消費税を、そのまま11兆円使って円を買ったわけではありません。

日本の為替介入には、財務省が管理する「外国為替資金特別会計」の資金が使われます。

円安を抑える円買い介入では、日本政府が保有するドル資金を売り、その代わりに円を買います。

介入は買い物ではなく資産の交換

例えば、政府が5兆円分のドルを売り、5兆円分の円を買ったとします。

この場合、5兆円が消えてなくなったわけではありません。

保有していたドル資産が減り、円資産が増えています。

家庭に例えると、ドル預金を解約して円普通預金へ移したようなものです。

公共事業や給付金円買い為替介入
国が資金を支出するドルを売って円を買う
資金は道路・給付・サービスへ変わる保有資産の通貨が変わる
一般会計が中心外国為替資金特別会計が中心

カツくん:11兆円を使って宇宙へ飛ばしたわけではありません。ドルという財布から円という財布へ移したイメージです👛

「税金ではないなら国民に関係ない」は本当か

直接、所得税や消費税を使うわけではありません。

しかし、「国民にはまったく関係のないお金」と言い切ることもできません。

外貨準備は政府が管理する公的資産です。

また、日本がドル資産を保有している背景には、過去に政府短期証券を発行して円を調達し、ドルを購入してきた経緯があります。

そのため、外貨資産だけでなく、政府側の負債や利払いも含めて考える必要があります。

円買い介入で米国債などを売却すれば、将来受け取れる利子収入が減る可能性もあります。

反対に、円が安いときにドル資産を売れば、円換算で大きな利益が出る可能性もあります。

つまり、介入による損得は次の要因で変わります。

  • 過去にドルを購入した為替レート
  • 今回ドルを売った為替レート
  • 売却した外国債券の価格
  • 失われる将来の利子収入
  • 政府短期証券の利払い負担

正確な答えは、次のようになります。

介入額と同じ金額の税金が消えるわけではありません。しかし、国が管理する公的資産を動かすため、国民と無関係でもありません。

なぜ11兆円もの大規模介入が必要だったのか

政府が問題にしているのは、単に円が安いことだけではありません。

特に警戒しているのは、短期間で一方向に進む「過度な変動」や「無秩序な値動き」です。

財務省も、為替相場が経済の基礎的条件から離れたり、短期間で大きく変動したりする場合、相場の安定を目的に介入することがあると説明しています。

投機的な円売りを止めるため

市場参加者が「円はまだ下がる」と考え、一斉に円を売ると、円安がさらに円安を呼ぶ状態になります。

政府が大規模に円を買えば、円を売っていた投資家は損失を避けるため、円を買い戻します。

この買い戻しが重なることで、政府が投入した資金以上に相場が大きく動くことがあります。

企業と家庭に対応する時間を与えるため

為替が数日で10円も動けば、輸入企業は価格設定や仕入れ計画を立てられません。

急激な円安を一時的に止めれば、企業は価格改定、為替予約、仕入れ先変更などを行う時間を確保できます。

米国と協力することで警告を強めるため

今回の大きな特徴は、7月31日に米国も協調介入したことです。

日本だけの介入であれば、市場は「日本政府のドル資産には限りがある」と考えるかもしれません。

しかし、米国も協力すれば、「日米両政府が現在の円安を問題視している」という強いメッセージになります。

実際、日米両政府は、必要であれば追加の協調介入も辞さない姿勢を示しています。

介入しても円安に戻るなら意味がないのか

為替介入の後に円安へ戻ると、「何兆円も使ったのに無駄だった」と感じます。

しかし、為替介入の目的は、必ずしも特定の為替レートを永久に維持することではありません。

主な目的は、急激な値動きを抑え、投機筋へ警告を出すことです。

介入がなければ、さらに円安になった可能性がある

介入後に160円まで戻ったとしても、介入がなければ165円、170円へ進んでいた可能性があります。

実際に起きなかった未来なので証明はできませんが、「元に戻ったから完全に無意味」とは言い切れません。

追加介入への警戒が残る

一度大規模介入を経験すると、投資家は円を売る際に、再び数円規模で急変するリスクを考えるようになります。

これによって、円売りの勢いを弱める効果が期待できます。

ただし根本原因は変わらない

為替介入だけで、円安の原因そのものを消すことはできません。

円安の背景には、次のような要因があります。

  • 日本と米国の金利差
  • 日本の原油・天然ガス輸入
  • 日本企業や個人による海外投資
  • ドルの国際的な強さ
  • 日本経済や金融政策への評価

これらが変わらなければ、円買い介入によって一時的に円高になっても、時間がたつと円安方向へ戻る可能性があります。

カツくん:為替介入は、円安を完治させる手術ではなく、急激な症状を抑える応急処置です。効いている間に根本治療も必要です🏥

日米協調介入は単独介入と何が違うのか

日本が単独で円を買う場合、日本政府が保有するドルを売り、円を買います。

今回の7月31日は、米国も協力して円を買いました。

米国側はニューヨーク連銀などを通じて、市場で円を購入したと報じられています。

協調介入には、主に3つの意味があります。

1.投入できる資金が増える

日本だけでなく米国も資金を投入すれば、円を買う力が大きくなります。

2.市場へのメッセージが強くなる

世界最大の経済大国であり、ドルを発行する米国が介入に参加するため、投資家への警告効果が強まります。

3.日本だけが為替を操作しているという批判を避けやすい

米国と合意したうえで行うことで、国際的な理解を得た対応だと示しやすくなります。

ただし、協調介入であっても、日米の金融政策や金利差が変わらなければ、長期的な円安の流れが必ず反転するわけではありません。

私生活にはどう影響するのか

為替介入は、FX投資家だけの話ではありません。

円高が定着すれば、海外から輸入する商品の円換算価格が下がりやすくなります。

ガソリン・灯油

原油は基本的にドル建てで取引されます。

原油価格が同じなら、円高になるほど日本円での輸入価格は安くなります。

ただし、中東情勢などによって原油そのものが上昇すれば、円高の効果が打ち消される場合があります。

電気・ガス料金

日本は原油や天然ガスなど多くのエネルギーを海外から輸入しています。

2023年度には、輸入原油の94.7%を中東地域に依存していました。

円高が続けば、発電燃料の輸入負担を抑える方向に働きます。

ただし、電気料金へ反映されるまでには数か月の時間差があります。

食料品

小麦、大豆、食用油、冷凍食品、果物、家畜用飼料などは、輸入価格の影響を受けます。

円高が長く続けば値上げ圧力は弱まりますが、すでに高い為替レートで仕入れた在庫があるため、翌日から価格が下がるわけではありません。

スマートフォンやパソコン

海外メーカーの商品や、輸入部品を多く使う電化製品も為替の影響を受けます。

円高が定着すれば値上げを抑える効果は期待できますが、メーカーがすぐ販売価格を下げるとは限りません。

兼業農家にはどのような影響があるのか

僕のように会社員をしながら水田で米を作る兼業農家にとって、円安は意外と大きな問題です。

ドルで直接支払うことはなくても、肥料、燃料、農薬、農機具、修理部品などを通じて影響を受けます。

肥料価格

日本は、尿素、りん酸アンモニウム、塩化加里など、主要な化学肥料原料のほとんどを輸入に依存しています。

そのため円安になると、肥料原料の円換算価格が上がりやすくなります。

さらに、海上運賃や原油価格が上昇すれば、肥料の製造費と輸送費も増えます。

円高になれば輸入負担は軽くなりますが、すでに仕入れた原料や在庫があるため、肥料価格がすぐ下がるわけではありません。

トラクター・コンバインの燃料

耕起、代かき、田植え、草刈り、稲刈り、乾燥作業には、軽油、ガソリン、灯油、電気などを使います。

円安と原油高が重なると、農作業に必要な燃料費が二重に上がります。

農機具と修理部品

日本メーカーの農機具でも、半導体、電子制御部品、油圧部品、金属材料などを海外から調達している場合があります。

円安が長く続けば、新しい農機具だけでなく、交換部品や修理費も上がりやすくなります。

カツくん:農機具は、壊れる前は静かです。壊れた瞬間だけ、財布に向かって大声で話しかけてきます😭🚜

農家にとって重要なのは一日の円高ではない

1ドル162円から157円へ円高になっても、翌日から肥料や軽油が安くなるわけではありません。

農業資材の価格に影響するのは、一日の為替よりも、数か月から1年程度の平均的な為替水準です。

介入によって円高が定着すれば、次年度の肥料や農業資材の値上がりを抑える効果が期待できます。

しかし、数日で円安へ戻れば、農家が実感できる効果は小さくなります。

米国株やゴールドへの影響

円高は、輸入品を購入する人にはプラスですが、すでに米国株を保有している人にはマイナスに働く場合があります。

米国株は円換算評価額が下がる

例えば、1万ドル分の米国株を保有しているとします。

ドル円円換算評価額
1ドル162円162万円
1ドル157円157万円

株価が変わらなくても、5円の円高で円換算評価額は5万円減ります。

ただし、これから米国株を買う人にとっては、円高になるほど同じ日本円で多くのドル資産を買えます。

ゴールドにも為替が影響する

ゴールドは世界市場ではドル建てで取引されます。

戦争や金融不安でドル建てゴールド価格が上昇しても、同時に円高になれば、日本円で見たゴールド価格の上昇率は小さくなります。

反対に円安になれば、ドル建てゴールドが横ばいでも、円建てでは上昇する場合があります。

💡お金の豆知識:円安は保有中の海外資産には追い風になりやすく、円高は新しく海外資産を買う人に追い風になります。

今後考えられる3つのシナリオ

シナリオ1:協調介入が効いて円高が続く

日米の追加介入警戒や、米国金利の低下、日銀の政策変更などが重なれば、円高方向が続く可能性があります。

この場合、輸入物価、燃料、肥料にはプラスですが、米国株の円換算評価額にはマイナスとなります。

シナリオ2:155円から160円付近でもみ合う

追加介入への警戒が円安を抑える一方、日米金利差やエネルギー輸入が円売り要因として残るケースです。

大きな値幅で上下する、神経質な相場が続く可能性があります。

シナリオ3:再び160円を超えて追加介入

米国金利の上昇や原油高、ドル高が続けば、再び円安が進む可能性があります。

短期間で急激な円安となった場合、日米が再び協調介入する可能性も否定できません。

ただし、「160円になれば必ず介入する」といった具体的な防衛ラインは公表されていません。

為替介入ニュースを見たときのNG行動

NG例1:円高になった瞬間に米国株を全部売る

介入による円高が長く続くとは限りません。

長期投資をしている場合、数日の為替変動だけで投資方針を変えると、往復売買になりやすくなります。

NG例2:介入額と同じ税金が消えたと考える

為替介入は、ドル資産と円資産の交換です。

11兆円介入したから、11兆円の国民負担が発生したという計算はできません。

NG例3:円高になったから、すぐ肥料やガソリンが安くなると思う

商品価格には在庫、原油価格、輸送費、税金、補助金なども影響します。

為替の変化が店頭価格へ反映されるには時間がかかります。

NG例4:FXで介入の方向を当てにいく

介入は時間、金額、方法が事前に公表されません。

短時間で数円動くことがあるため、高いレバレッジをかけた取引は非常に危険です。

NG例5:「どうせ戻る」と決めつける

今回は米国も協調しているため、日本単独介入より市場への警告効果は強くなっています。

過去と同じ動きになるとは限りません。

🔍用語解説コーナー

為替介入

政府が外国為替市場で円やドルを売買し、急激な為替変動を抑える政策です。正式名称は外国為替平衡操作です。

円買い・ドル売り介入

政府が保有するドルを売り、円を買う介入です。急激な円安を抑える目的で行われます。

協調介入

複数の国の通貨当局が、同じ目的で同時に為替介入を行うことです。

日銀当座預金

民間金融機関が日本銀行に持つ口座です。金融機関同士や政府との資金決済に利用されます。

財政等要因

税金、政府支出、国債の発行・償還、為替介入などによって、日銀当座預金が増減する要因です。

T+2

取引日の2営業日後に資金や通貨の決済を行う仕組みです。

外国為替資金特別会計

日本政府が外貨資産や為替介入資金を管理する特別会計です。外為特会とも呼ばれます。

外貨準備

政府や中央銀行が保有する外国通貨、外国債券、金などの資産です。

短資会社

金融機関同士の短期資金取引を仲介し、金融市場の資金需給を分析する専門会社です。

投機筋

為替や株価の短期的な値動きから利益を得ようとする投資家や金融機関を指します。

まとめ:11兆円は税金の損失ではないが、介入だけで円安は治らない

2026年7月30日と31日、政府による大規模な円買い介入が行われた可能性があります。

7月31日については、日本と米国が協調介入したことが正式に公表されました。

日銀の当座預金データから、日本側の介入額は約5兆円から6兆円と推計されています。

7月30日分と合わせると、合計11兆円を超えた可能性がありますが、推計方法によっては13兆円以上になるとの見方もあります。

正式な月間総額は、2026年8月28日の財務省発表を待つ必要があります。

今回のポイントをまとめます。

  • 7月31日の日米協調介入は正式に確認された
  • 5兆〜6兆円という数字は日銀データからの推計
  • 2日間計11兆円超も正式確定前
  • 介入額と同じ金額の税金が消えたわけではない
  • 政府が保有するドル資産を売って円を買っている
  • ただし公的資産なので国民と無関係ではない
  • 介入は急激な変動を抑える効果がある
  • 日米金利差など円安の根本原因までは解決できない
  • 円高が続けばガソリン、電気、肥料の値上がりを抑えやすい
  • 米国株やゴールドは円換算評価額が下がる場合がある
  • 兼業農家への影響は、数日ではなく数か月後に表れやすい

11兆円という数字だけを見ると、政府が大切なお金を一瞬で使い切ったように感じます。

しかし、為替介入は単純な支出ではなく、ドル資産を円資産へ交換する取引です。

一方で、何度介入しても、日米金利差、エネルギー輸入、海外投資などの円安要因が変わらなければ、再び円安へ戻る可能性があります。

為替介入は必要な応急処置ですが、円安を根本から解決する万能薬ではありません。

カツくんの一言:11兆円介入と聞いても、「税金が11兆円消えた!」と慌てる必要はありません。ただし、国のドル貯金を使った大勝負なのは確かです。肥料も燃料も米国株も、為替は僕たちの生活にしっかりつながっています🌾💴

参考資料

  • 日本銀行「為替介入とは何ですか」
  • 日本銀行「日銀当座預金増減要因と金融調節」
  • 財務省「外国為替平衡操作の実施状況」
  • ロイター「7月31日の円買い介入額の市場推計」
  • Bloomberg「日銀当座預金からみた介入額推計」
  • 農林水産省「肥料原料の輸入依存」

免責事項

本記事は2026年8月3日時点の公表資料、報道、市場推計をもとに作成しています。

7月30日から31日の正確な月間介入総額は、2026年8月28日に財務省から公表される予定です。今後の発表により、記載した推計額と正式な介入額が異なる可能性があります。

本記事は、特定の通貨、株式、投資信託、ゴールドなどの売買を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の資産状況、投資目的、リスク許容度を踏まえて行ってください。

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